現在Cube Satの開発に携わっているのですが、今開発している衛星から熱設計を新たにきちんと考えるようにしよう!ということになったので、最近は人工衛星の熱設計について調べていました。幾つか参考になりそうな情報が見つかったので、備忘録としてここに情報をまとめておこうと思います。
1. 熱設計とは?
下記の記事はものすごく分かりやすかったので、熱設計を始めるにあたって最初に読んでみることをオススメします。
この記事は、熱設計の目的や熱設計を行う上でキーとなる概念(伝導、放射、熱平衡方程式など)が簡潔に説明されています。 この記事と併せて、Cube Sat開発のバイブル(?)の「人工衛星を作る」の4.7章も参照しておくとより理解が進むかと思います。

- 作者:宮崎 康行
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
ただ、この記事の内容だけだと形態係数が分かりにくかったので、 2. 形態係数について を参考に補足してやると良いかと思います。
2. 形態係数について
形態係数は下記の記事が分かりやすかったです。
この記事では、微小表面 から
への形態係数を、微小表面
から放射された熱と、そのうち微小表面
へ当たった熱の比として、下記の式
で示しています。
ただ、式 は1. 熱設計とは? の記事にある形態係数の式
と異なっているので、少し注意が必要です。
(リンク元の式では微小表面間の距離を と表記していますが、式
との対応を考えてここでは
と表記します)
この2つの式の対応は一見分かりにくいですが、式 は表面
から表面
への形態係数を表しているため、式
においてこれに相当する量を考えるには、
表面
から放射された熱と、そのうち表面
へ当たった熱の比を考えればよいことになります。
このとき、分母( から放射される熱の合計)は下記のようになります。
また、分子( から放射されて、
に当たる熱)は下記のようになります。
よって、表面 から
への形態係数は次のように表されます。
これは式 の
に等しいことが分かります。